長野市に移住したデザイナーの休日 #1


こんにちは。長野に移住した、“昭和ど真ん中世代デザイナー”のYです。
青森県に生まれて、東京の美大を出て、アパレルグラフィックや広告デザインの会社を経験し、フリーランスとして活動。旦那の仕事の都合でアルゼンチン&ペルーへ移住も、コロナの影響で強制帰国……。そして今、主人の地元である長野に骨を埋めるべく移住。これまでの30年間のデザイナーキャリアをここで還元したいと思ってます!
そんな「長野ビギナー」だけど「よそ者」だから魅力に見える、モノ・コトをご紹介します。
昭和レトロな映画館「相生座・ロキシー」
長野市の権堂という商店街に、約130年の歴史を持つ日本最古級の映画館があります。
それが、「相生座・ロキシー」。長野に来て以来、月イチ位で行くお気に入りスポットです。
・なにか面白そうなものがあれば観たい
・映画は「できれば映画館」派
・ふとしたときに昔の名作を見返したくなる(でも家では滅多に見ない)
という私にとって、新旧洋画・邦画、ミニシアター系、リバイバル上映など、シネコンにはない独自の視点でおすすめしてくれる作品は、私にはめちゃめちゃ刺さっていて、LINE登録して、何が上映されるか日々チェックをしています。
上映作品数が絶妙!
先日、葬儀のためのお数珠を買いに行ったら100種類くらい並んでいて決められず、結局買わずに帰ってきたことがありました。選択肢が多いってのも難しいものですね。
「何か観たいけど、何が良いか決められない。」そんなときの相生座・ロキシー。
「相生座・ロキシー」には、3つのスクリーン(長野相生座、長野ロキシー1、長野ロキシー2)を備えていて、独自のセレクトで5〜10本は上映しています。
「なんとなく観たい」くらいの気持ちのときも、バリエーションが豊かな作品を厳選して提案してくれて、そのなかで「私はこれを観る!」という選択と達成感を与えてくれるのが、嬉しいところ。(これって、マーケティングあるある、ですよね)
若い頃、仕事中にラジオから何度も流れてきた「コーリング・ユー」という曲がとても好きでした。それを主題歌としていた1989年の映画『バグダッド・カフェ』は、観たいと思いつつ、観たことがありませんでした。
でも先日、偶然ロキシーで観ることができて本当に嬉しかった。
こういう上映のセレクトも、虜にする大きな要因です。
原点回帰をさせてくれる昭和レトロ

東京に住んでいた時によく行った三鷹や吉祥寺の古い映画館はもうありません。長野の人は映画好きなんでしょうか。
それにしても建物は古く、大抵席は選び放題。トイレはちと臭う和式(洋式もあり)だったり、寒い日は震えながら観たり(席による)と、決して快適とは言えない部分も……。僭越ながら経営は大丈夫なのかと心配してしまうほど。
「うまいことやっているんだろうなぁ」と感心すると同時に、この古い映画館が存続している、長野という街が温かく感じます(私ももう、その一員!)。
昭和レトロブームで、若い世代の人たちは「新しくてオシャレ」とか言いますが、私にとっては、「在りし日の日常」であり、夢中で絵を描いていた子どもの頃を思い出します。
そんな、「好き」からはじめたデザインの仕事は、楽しさと苦しさが比例するもので、終電で帰り続ける日々もありました。それも今となれば大きな糧になったと、ここに来ると報われる気がします。
映画を観るだけじゃなく、自分の原点と現在地を確かめるにも、すごく心地が良くなるんです。
今度、「デリカテッセン」(1991年)、「ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻」(2023年)が上映されるので観に行きます。
若い方には新しく、私世代の方には懐かしい。自然が豊かでアウトドアアクティビティが魅力の長野県にも、こんなに素敵なインドアアクティビティがあります。
みなさま、素敵な休日をお過ごしください。
【デザイナーY】
青森市生まれ。東京暮らし30年を経て、2018年に夫の仕事の都合でアルゼンチン、ペルーへ行くものの、コロナ禍で強制帰国させられ、ペルーと青森を行ったり来たり。そして今、終の住処、長野市で暮らしはじめて一年が経とうとしています。