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研究員の雑談2|デザインの複数提案って、いいことなの?

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デザインの複数提案の意味って?

この前の仕事で、デザイン2案出しってオーダーがあって……。

持っていったら、A案とB案を折衷したC案を希望されちゃって……。

あ〜、よくある話よね。

でもさ、A案とB案ってそれぞれ違う方向性でつくってるから、結局混ぜたC案はそんなに良く評価されなくて。「じゃあ、もう1案」って話になってきて……。

沼にハマったね〜。

折衷案って、いい面もあるだろうけど、逆に言えば角がとれて丸くなっちゃう部分もあるんだよねぇ。

そうそう。それで別のアプローチでD案つくると「こんなテイストもあるなら、他のも見たい!」みたいな、ズブズブとハマって抜け出せなくなる(笑)。

どうすれば良かったのかなぁ〜。

担当者さんと話をして、上司の方たちの判断もあるから2案必要っていうことだったから、事前に「AとBの方向性で選んでもらいましょうね」って話まで進めていたんだよ〜。

こっちのデザインがお気に召さないということであれば、もちろんウチらの力量不足ってことだから、思考のプロセスからしっかり見直さなくちゃいけないよね。

あとは、担当者さんが上司の方にうまく説明できなかったか、あるいは説得できなかったか……。

担当者さんは、自分の担当案件だから熱量をもって、オーダーしてくれるんだけど、その想いと上司の方たちの考え方にズレがあって再考になるパターンもあるよね〜。

そうそう! 担当者さんはめっちゃ親切に説明してくれて、「自分なりにこうしたい」ってコンセプトがあって。だから、「この2案があれば話が通せる」ってとこまで話したんだけどね……。

玉砕。。。。。

そもそも、その2案出しの「目的」ってのが大事だよね。説得するための2案だったら、最初にしっかり話をしていれば、1案になったかもしれないし。

そのクリエイティブを届ける相手は上司だけじゃなくて、その先のお客様も考えないとね〜。

担当者さんの熱量が多くても、そのクリエイティブの方向性が個人的になっていないか、プロジェクトとしての出発点と目的がどこにあるかを共有することは、とっても大事な気がする。

「クライアントのクライアント」を考えたうえで、私たちが俯瞰してデザインを提案しないといけないんだなぁ。

デザインの決定に複数提案は得策?

じゃあ、「ちゃんと話をして1案提出」ってのがベストなの?

いや、そうとも言えないんじゃない? 複数提案のメリットって「見て選べる」ってことでしょ? 会話でイメージしたものを実際に見て判断してもらうことで、決めやすくなるわけだし。

私が担当しているお客様は、いつも3案出し。

3案!?

でも、その3案については基本的に必要な構成要素(タイトル、写真、問い合わせ先情報など)を指定されたら、こっちの自由提案なんだけど、必ずその中から1つを決めてくれるんだ。先方の部署で多数決して、それで決定!

そういうシステムになってると、わかりやすいよね。

だから、1人で3案つくるんじゃなくて、別々のデザイナーにお願いしてる。

それって費用は?

もともと3案提出って話でいただいているから、問題なし!

そうやって決定プロセスがはっきりしている複数案出しの形だと、つくる側も安心だね。

これなら沼にハマることはない……。

でも、デザイナーが違うとはいえ、しっかりとテイストを分けなきゃいけないし、結果的に2案は採用されないわけじゃん? だからといって、その不採用のデザインをほかの仕事に使い回すわけにもいかくて(汗)。結局ただボツになっていくのは、ちょっと心苦しいのも本音だよね。

とはいえ、「どれか1つに決まる」という安心感は大きいよね。

複数提案、プロセスと時間とコスト

それでも、割と気軽に「2案ちょうだい」って話になるときあるじゃない?

あるある。だからって「はい、わかりました」って簡単に答えちゃダメだよ。それ自爆スイッチだから。

具体的に担当者さんと「このデザインで何を訴求したいのか」「どんなテイストのデザインがいいか」「どういう2案の差が欲しいのか」「どうして2案が必要なのか?」とか、しっかりとお話して、「じゃあ、こういう2案の方向でいきましょうか?」って話をして。最低限担当者さんとイメージの共有はしておかないとね。何もない状態から、勝手にこっちの想像でつくったら、それこそ、再提案のリスクが上がるだけだよね。

今回の私、それかも……。

あと、「費用と時間」の相談はしないとね。

本来の費用と期限で2案つくるって話になると、普通に考えて「1案に費やす思考と制作の時間とお金を半分にする」ってことじゃん。そんな「50%のクリエイティブ」を出すわけにはいかないでしょ? それであれば、費用をもらって2人体制にするとか、時間をもらって2案をきちんとつくらないといけないよね。

それでも、いきなり費用を倍にはしてくれないでしょ?

まぁね〜。さっきも話したみたいに「結果的に選ばれるのは1つ。残りはボツ」になるわけだから、私がお客様の立場だったとしても「使わないデザインに満額の費用は……」とか「1案作るのにいつもの倍の費用がかかる」って考えちゃう。

だから、「お金と時間くれなきゃ、やりません!」なんて言えない。

そもそも、その仕事が成立するまでのことを考えるとねぇ〜。

けど、「複数提案は、お金と時間がかかります」ってことは、理解していただけると嬉しいよね。

そうだね。「良いクリエイティブをつくるにはお金がかかる」ってことじゃなくて、きちんとお話をして、お客様と私たちの目的とビジョンが共有できていれば、短時間・低コストにすることもできるんだから。「複数提案」は手段であって目的ではないからね〜。

デザイン案の数は信頼関係の度合い?

じゃあ、結局今回の複数提案の沼は、私の初動ミスってこと?

そうだったかもしれないね〜。 もう少し担当者さんの話から、色々探ってみることは必要だったかもね。

それこそ、ちゃんと仕事内容だけでなく、決定プロセスなどの先方の事情までお話を聞いて、より良い制作工程をつくっていくことが必要なんじゃない?

うん。もうすでに別案制作で、スケジュール押してるし。

こっちが「上司対策の2案は出しません!」「複数案出すなら時間と費用をください!」って強固な姿勢をとってれば良かったかっていうと、そうじゃないと思う。

担当者さんから見れば、なんとかスムーズに進行するために考えた方法だからね。

大事なことって、いい意味で「担当者さんの言葉を鵜呑みにしない」ってことなのかもね。

寄り添いすぎちゃうと、逆に担当者さんの負担になっちゃうこともあるってことか〜。今も担当者さん焦ってるし……。

「クライアントファースト」って、「言うこと聞く人=付き合いやすい」じゃないし、「言うこと聞かない人=付き合いづらい」ってことでもないよね。きちんとクライアントと制作会社っていう対等な立場で対話ができる関係性づくりってのが、ほんと大事。

複数提案の意味や正解の形って、お客様の数だけあるから、永遠のテーマだよね……。

ほんと、それ。

デザイン会社の複数提案のやりがいって?

私は、基本的に「複数提案」肯定派。

そうなんだ〜。

もちろん、時間とかお金とか色々なハードルはあるかもしれないけど、2案になると、「1案はクライアントさんからの希望のイメージ」「1案はこちらで考えたイメージ」にさせてもらうと、自分のクリエイティブを提案できる機会があるってことじゃん。しっかりとお話を聞いて、クリエイティブ自体の軸を変えるんじゃなくて、「何かお客様が思いもしなかった表現を提案できないか?」って。

それ、燃えるね〜!!!

お客様が想定していたA案より、想像を超えて評価されたB案を採用されたときって、ほんとクリエイター冥利につきるんだよね!

そういう複数提案なら、こっちもワクワクしてくるね!

こうしてまた、ラボにはデザインラフの山が膨らんでいくのでした……。

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